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ヴィアマーラ Via Mala

子を呼ぶ母の叫びが聞こえぬか
母を呼ぶ子のすすり泣きが
聞こえぬか〜
ヴィアマーラとは「悪い道」を意味し、スイス・グラウビュンデン州のヒンターライン川沿いのトゥージスとツィリス間の険しい道に付けられた名前です。1800年代に別の道が整備されるまでは、北部のクールから南部へ向かうシュプリュンゲン街道、ベルナディーノ峠へ抜けるために避けて通れない道で、古くは古代ローマ人も通ったと記録されています。地形は道と言うより垂直な岩肌、まさに断崖絶壁と言うべき峡谷で、何人もの旅人が命を落としました。ヴィアマーラという名前は中世に入って交通量が増え、このひどい険しい道が有名になった13世紀頃に付けられたと言われています。1473年から周辺の自治体が共同で道の改善に乗り出し、古い木製の橋を石橋に作り直したり、ローマ時代の細道を崖を削って増幅したり大規模な工事を行いました。1700年代前半にはこの細道を向かい側へ渡れるようにヒンターライン川に2つの大きな石橋をかける工事が行われ、そのうち1つの橋は今日でも使われています。1800年代初頭にグラウビュンデン州で飢饉が起こると、南部からの食糧調達が必要になりましたが、唯一の道であるヴィアマーラは狭すぎて物資の大量輸送ができません。そのため、再び州の事業としてヴィアマーラ及びその周辺の道路やトンネルを拡張する大規模な工事が始まりました。1967年にサン・ベルナディーノ峠の南北を結ぶ高速道路A13線が開通すると、ヴィアマーラは交通の要所としての役目を終え、以後観光地として立ち寄る人々に自然の脅威や、難関な工事に携わった人々の歴史を伝えていく役割を担うようになりました。

ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェは1872年、母に宛てた書簡で次のように語っています。「ヴィアマーラのとてつもない雄大さについては何も書かない。− 私には、まるで私がスイスについて何も知らなかったかのように思える。ヴィアマーラの陰鬱なる偉大さは、私自身の存在の反映のごとく感じられる。」

地元スイス・グラウビュンデン州の作家ジョン・クニッテルは1934年に「ヴィアマーラ」という題の小説を出版しています。1800年代に実際にあった殺人事件を元に、アルコール中毒の父親の家庭内暴力と家族の人間ドラマが題材の悲劇で、2回ほど映画化もされました。特に1985年にドイツ第二国営放送ZDF局が作った3部作の長編映画は有名で、ドイツ人観光客はヴィアマーラに来ると崖っぷちからマリオ・アドルフ(この映画の主演俳優)が出てきそうだと思うそうです。

ベルニナエクスプレスやポストバスを使ってスイス東部を観光するルートにはヴィアマーラが含まれているので、興味のある方は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。ただし、現在は整備されているとは言え「親不知子不知」な断崖なので写真を撮る際はお足元にじゅうぶんご注意ください。


(ローマ人がかつて通った道 中央付近に木製のローマ人がいます)

(拡大図)


(321段の階段で下まで降りられます ただし入場料5スイスフラン)


そして本当に断崖絶壁です
足元注意

(1739年に完成した石橋 当時のスイス軍兵士が岩山を削って作りました)


中央付近に見える小屋は岩山を削った洞穴で、インフォメーションセンターになっています
下を見ると脚が震えそうです
ヒンターライン川がごうごうと流れています
落ちたらまず助かりません

ニーチェの言う通り、薄暗い偉大さを感じさせる自然
ヴィアマーラへのアクセス

アウトバーンA13線南方面 23番出口「Viamala」
アウトバーンA13線北方面 25番出口「Zillis Viamala」
4月から10月までは公共のポストバス「Thusis-Spluengen-S.Bernadino」線にViamala停留所あり

4月と10月は 9:00-18:00まで、5月から9月は8:00-19:00まで見学可能。冬場は危険防止のため閉鎖。グループ見学やガイド付きのツアーもある。




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