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オリエント急行 Venice Simplon Orient Express

山を越え谷を越え
オリエント急行が
やってきた!

先日近所を線路沿いに散歩していたら、見慣れない列車が走ってきました。白い屋根に藍色のボディー、ノスタルジックな装飾で何とも豪華な感じです。幸いカメラを持って散歩に出るのを習慣にしているので、この珍しい列車も写真に収めることができました。早速家に帰って調べてみると、何と「ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス Venice Simplon Orient Express」という超豪華列車であったことが発覚。パリからベネチアへ向かう旅の途中のルートで我が家の近くを通ったようでした。

オリエント急行とは、国際寝台車会社(ワゴン・リ)が1883年よりパリとイスタンブールを結ぶルートで運行を始めたのを起源とする長距離の夜行列車の総称で、今日ではヨーロッパの長距離豪華列車のことを指します。西欧都市とバルカン半島、ギリシャ、トルコなどを結ぶ様々なルートがあり、出発地や経由地により「シンプロン・オリエント急行」「バルト・オリエント急行」など異なった名前が付けられていました。残念ながら世界大戦や冷戦を経て豪華列車は衰退し、国際寝台車会社も1971年に寝台車事業から撤退しましたが、近年ホテル会社や旅行会社が当時の車両を復元して20年代、30年代さながらの豪華観光鉄道の旅を提供するようになりました。これらの観光列車の車両も20年代、30年代に製造されたものなので、現代のモダンな車両とは間取りが違い、バリアフリーではなかったり少々古臭く感じられる部分があったりするようですが、格調高い調度品やグラスに食器、料理や乗務員のサービスは当時の風格そのままで、豪華絢爛なタイムスリップを楽しめるということです。当然旅行者も列車に合わせて格調高い身なりと仕草をしなければならないので、ディナーの際、男性はタキシードかダークスーツにネクタイ、女性はイブニングドレスやワンピースというドレスコードがあり、その他走行中も、Tシャツやジーンズ、スニーカー、サンダルといった軽装は禁止です。

私が運良く目撃した「ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス」はロンドンのオリエント・エクスプレス・サービス社が運営する豪華列車で、ロンドン、パリ、ベネチア、ウィーン、プラハ、ブダペスト、イスタンブールが出発、目的地です。アガサ・クリスティの有名な小説「オリエント急行殺人事件」のイスタンブール・カレー間を走るのも(当時は国際寝台車会社(ワゴン・リ)の運営ですが)この列車です。オリエント・エクスプレス・サービス社は現在1926年から1931年に製造された16台の歴史的車両を保有しており、そのうち3台が食堂車、1台がバー、12台が寝台車です。我が家の近くを通った列車は16両編成だったので、全車両揃ってのお目見えだったようです。パリを夜9時に出発し、乗客はまず食堂車でシェフが腕をふるった極上フレンチディナーを堪能。キャビンに戻ると部屋は風格のある寝室に早変わりしていて当時の貴族のように眠る準備が整えられています。翌朝は景色を楽しみながらキャビンで朝食サービス。昼食までの間はバーでおしゃべりをしたり、車内を歩いてみたりくつろぎの時間を過ごせます。この頃電車はアルプス地方に入り、車内から雄大な自然を見渡すことができます。私がオリエント急行を目撃したのは午前10時前だったので、朝食と昼食の間に窓から外を眺めたり写真を撮ったりする乗客の姿が見られました。ちなみに皆さん思ったよりも割と簡素な普段着で、それほど気合いを入れてお洒落をしている感じではありませんでした。お昼はまた食堂車にて豪華なコースメニュー。その後列車はイタリアに入り、ドロミテ、南チロルを抜けてベネチアへ向かいます。キャビンでアフタヌーンティーを楽しんだ後、夕方6時頃目的地ベネチアに到着し、豪華列車の旅が終わるという日程のようです。


(ゴッタルド鉄道、ジョルニコの三段ループの2段目を走るオリエントエクスプレス)


(スイス国内では2両のスイス国鉄SBBのRe6/6が16両の豪華列車を引いて走ります)


(右下に金文字でBARWAGEN (バー車両)と書かれています)


(扉や窓の細部まで豪華な作りで、車体には埃一つ見られません)


お値段は、1泊2日のパリ発ベネチア行が1人2020ユーロ(約28万円)より。朝ロンドンを出て夕方パリに着く、ブランチのみのコースでも最低720ユーロ(約10万円)。5泊6日のパリ発イスタンブール行は1人6920ユーロ(約98万円)と、日本で最近話題のJR九州クルーズトレイン「ななつ星」に負けず劣らずですが、豪華絢爛な車両と隅々まで行き届いたサービス、最高級のおもてなしを考えれば妥当な価格なのでしょう。

ちなみに経営母体の株式会社オリエント・エクスプレス・ホテルズの本社はタックスヘイブンとして有名なバミューダ諸島の首都ハミルトンにあり、世界各国で高級ホテルやクルーズ、豪華列車などを運営しています。




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