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レッヒ Lech am Arlberg

吸いこまれそうな
自然の美しさ
オーストリアの一番西のフォアアールベルク州のアルペン山脈、標高1400mくらいに位置する町、レッヒ。13世紀頃に成立し、以後長い間無名の小さな集落でしたが、ここ数十年、冬の休暇地としての開発に力を入れ、みるみるうちに発展し、今ではオランダやスウェーデンの王室を始めヨーロッパ各地の上流社会が訪れる高級リゾート地として有名になりました。人口は1500人ほどで、そのうち千人以上が観光産業に従事していて本当に観光だけで成り立っている町です。映画「ブリジット・ジョーンズの日記」の続編「ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月」の休暇シーンの撮影もここで行われました。同じウィンタースポーツの街として、長野県の白馬村と姉妹都市協定を結んでいます。建物は全てホテルやペンション、それもおとぎ話のように美しい木造のいわゆる「アルプスのかわいい村」の外観で、バルコニーはいつも満開の花で飾られ、内装もメルヘンチックで非常に美しく、どの宿でも外れはありません。星のたくさんついた大きなホテルには何から何まで設備が整っており王族気分を味わうことができ、星の少ない小さなペンションでも清潔さは日本以上のレベルで、オーナーの気遣いが感じられる内装や心のこもったおもてなしを受けることができます。お値段は、冬のハイシーズン(特にクリスマス休暇前後)は小さなペンションでも一人一泊二万円、高級ホテルのいい部屋だと十数万も珍しくありません。最近は年々ロシアの新興富豪が多く訪れるそうで、冬は毛皮をまとってロシア語を話す人々であふれているそうです。これはスイスのサン・モリッツやダヴォスなどのリゾート地にも言えることですが。おかげでレッヒはオーストリアで「人口一人あたりの財政が最も裕福な自治体」の称号を得るに至りました。冬のゲレンデで軽食のハンバーガーとポテト少々が二千円もするのですから、税金もたっぷり入ることでしょう。

これだけ聞くと、素敵そうな町だけどハイソな人々専用みたい。私には無縁だわ、と思いませんか。確かに冬はそうです。スキー場はヨーロッパ各地に他にもたくさんあるので、わざわざレッヒに行く必要はありません。それならいつ行くの?答えは夏。夏のバカンスと言うとイタリアやスペインの地中海を想像しますが、そういうところは混んでいるし、何より暑くてたまりません。しかし夏のレッヒは高原なので涼しく、空気は素晴らしくきれいで車やバイクの騒音もなく、牧草地から牛の首につけられた鈴の音が聞こえてきたりして、それは夢心地なのです。最大の長所は、夏場は宿泊料金が冬の4分の1程度だということ。レッヒのホテルは冬場にじゅうぶん稼ぐので、訪問客の少ない夏場は閉店しているところもありますが、夏は空白を埋めるために低料金で営業しています。サービスの質は冬と変わらず、更に宿泊客は「レッヒカード」というパスをもらえて、ケーブルカーやロープウェイ、周辺地域のバスを無料で利用することができます。冬のスキーゲレンデが夏は素敵なハイキングコースになるので、高山植物や美しい小川を眺めながら山歩きをするもよし、ホテルでのんびり過ごすもよし、カフェに座って読書をするもよし。難を言うなら1つだけ。山の天気は変わりやすいので、真夏でも25度の晴天が次の日にはいきなり8度の曇りになったりすることがあります。8月に雪が降ることもしばしば。そのため服装には注意が必要です。

ヨーロッパ人は夏の休暇中は日焼けしなければならないという信念があるので、太陽ギラギラの海辺に日焼け止め無しで一日中寝そべって茹でたカニのごとく真っ赤になるのが定番です。山の太陽でも日焼けはじゅうぶんできますが、話題として海のほうが格好いいのでしょう。夏山の休暇は「イケてない」らしいのです。オーストリアは目的地として更にイケてないようで、熟年夫婦などは別として、若者や子連れの家族はスペインのマジョルカやイビサ島、イタリアやギリシャなどを好み、最近は格安ツアーでトルコやエジプトにも気楽に行けるようになったため、ドイツのバイエルンやオーストリアアルプスなどは過去の遺物となってしまいました。そして休暇の最大の目的は、休暇前に同僚や近所の人に「今年はどこどこへ行くのだ」と自慢することと、家に帰ったあとで同じように「今年はどこどこへ行ってきたのだ」と自慢することですから、響きのいい目的地を選ぶことは重要なのです。日本からの旅行客にはそんなことは全く関係ないので、夏山や雄大なアルプスを楽しみたい方には是非おすすめしたい目的地なのですが。

ちなみに私がレッヒを知ったきっかけは、主人が子供の頃に毎年家族旅行で夏に3週間ほどレッヒで休暇を過ごしていたことです。もう40年も前の話ですが、当時もレッヒは整備された美しい村だったそうです。外国で休暇を過ごすことが珍しかった当時、自家用車ではるばる中央ドイツからオーストリアまで行き、毎日山遊びをしたりオーストリアのすてきなお菓子を食べたり、夢のような休暇だったそうで、それを再現したいと数年前にふと二人でレッヒに行ってみました。スイスからは車で3時間程度で行ける距離だし、宿も前日に電話すればだいたい予約が取れます。そんな具合に私もすっかり夏のレッヒが気に入ったので、今では週末にかけてちょっと暇ができて、向こうの天気がよさそうならプチ休暇に出かける習慣ができました。私の目的は日焼けでも自慢話でもなく、山歩きでもなく、宿の湯船とカフェのケーキなので天気が悪くても一向に構わないのですが。



(冬は真っ白なスキー場、夏は美しい緑の芝生)


(典型的なペンション、山小屋風のかわいらしい建物)


(スキーリフトで上まで登れます)


(空気は最高においしい)


(湖の水はクリスタルのように透き通っています)


(小川の水も冷たくきれい)


(オーバーレッヒという上の方の集落から見たレッヒ)


シュペッツレという麺料理。食器にもこだわりが見られます)


(天気がいい日の眺め)


(天気が悪いとこんな感じ)


リューフィーコプフ山 Rüfikopf 山頂からのパノラマ(クリックで拡大します)


リューフィーコプフ山 Rüfikopf 山頂のロープウェイ乗り場(クリックで拡大します)


市内の中央付近(クリックで拡大します)


市内の中央付近の夜景(クリックで拡大します)


ペンションの密集する区域(クリックで拡大します)



レッヒへのアクセス
日本からは飛行機でチューリヒ(スイス)、ミュンヘン(ドイツ),ミラノ(イタリア)国際空港へ、そこから電車でLangen am Arlberg 又は St.Anton am Arlberg駅まで行き、バスかタクシーでレッヒへ。
ヨーロッパ内からは車で行くのが一番いい。距離はインスブルックから120km、ブレゲンツから100km、チューリヒから200km程度。





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