ヨーロッパで暮らす ー 日独伊+瑞 日々の生活 | メール |
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キャンピングカーの中をのぞいてみよう |
変な車がいっぱい とまっているよ |
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ヨーロッパの高速道路をバスで移動中、白い大型のバンやボックスカーにドアと窓が付いたような車や、窓付きの牽引車を引っ張って走る普通車を見たことはありませんか。これらは全て「キャンピングカー」、その名の通り一台で寝食と移動ができる便利な乗り物です。アメリカのRVやモーターホーム、トレーラーハウスなどと同様のコンセプトで、ソファー、テーブル、ベッド、キッチン、バスルーム、収納スペースなど生活に必要な設備一式が丸ごと付いた、動く家。これに乗ってバカンスに出かければ見知らぬホテルに泊らず、住み慣れた環境で休暇を楽しむことができ、食材その他も全てあらかじめ用意できるので旅先でも安心というわけです。ヨーロッパのキャンピングカーはアメリカのものほど大きくはありませんが、その分小回りもそれなりに利くので街中でも苦労せずに走ることができます。 欧州の一般的なキャンピングカー(日本でフルコン、キャブコンバージョンと呼ばれるもの)は大手自動車メーカーのバンを基にして加装会社がキャビンを組み立てたものです。ベースになる車はフィアットのデュカト、フォードのトランジット、ベンツのスプリンター、フォルクスワーゲンのトランスポルター、ルノーのマスター、イヴェコのデイリーなど、小型〜中型の輸送貨車として使われるタイプの車で、完成重量は3トン半から7トン程度、全長5〜8m、幅2.3m程度、車種によりますがエンジンは80から200馬力くらい、大半はマニュアル車ですがオートマ車もあります。牽引車タイプのものは「キャラバン」などと呼ばれ、全長4〜8m、重さは1〜2トン半くらいが主流です。よく知られている加装会社とブランドには次のような名前が挙げられます。日本に輸入されているメーカーもいくつかあります。
内装設備は、車両一体型でも牽引型でもそれほど変わりません。典型的な装備は、4人分のソファースペースとテーブル、4人分のベッド、台所にはガスコンロとシンク、冷蔵庫、トイレ(カセット式キャンピングトイレ)とシャワー、クロゼット、その他収納スペースといったところでしょう。テレビやオーディオ設備も好みでアレンジできます。ソファーは運転席と助手席を回転させて後部座席と向かい合い、中央に組み立て式テーブルを設置します。ベッドは後部に固定されている場合と、屋根部分を持ち上げたりして作る場合があります。シャワーとトイレは1つの空間にまとまっているのがほとんどで、超小型キャンピングカーの場合はシャワーがなかったり外付けだったりすることもあります。外装オプションとして、自転車を運べるレールや、外部に巻き取り式のテント屋根を取りつけることもできます。キャンピングカー専用キャンプ場に長く留まる場合はこの巻き取り屋根がないと困ります。水は100リットル程度の上水タンクが付いているので、給水してシャワーや洗いものをします。温水とコンロはガスボンベを使い、バッテリーも12ボルトのものが別に付いています。下水タンクとカセット式トイレは溜まったら当然処理しなければなりません。キャンプ場には専用の処理場があります。 以下は我が家のキャブコンバージョンのキャンピングカーです。
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全体像。右下の黒い四角は電源用コンセント。後方タイヤの脇に給水用のジョイントと排水管があります。反対側にスライド式のドアがあり、これが入り口。 | |
間取り図。運転席と助手席は回転式、後部ソファーは3人掛け。前2席を倒して後ろのソファーとつなげるとベッドになります。中央がキッチン、後部はバスルームとクロゼット。 | |
(クリックで別ウインドウが開きます。マウスでドラッグして360°バーチャルツアーをどうぞ) 上部ベッドを折りたたみ収納して、中央のテーブルを出した状態。テーブルは普段は取り外して運転席上部、ベッド下に収納されています。キッチンの反対側の窓の下には冷蔵庫があります。壁は収納スペースとして上手く使われています。バスルームは全てプラスチック。洗濯物を干す巻き取り式のロープも付いています。 (クリックで別ウインドウが開きます。マウスでドラッグして360°バーチャルツアーをどうぞ) ベッドを開いた状態。屋根と左右に窓があるので閉所恐怖症になることはありません。梯子はないのでキッチンの台に上がってベッドによじ登らなければならないので、小さな子供や体の硬い人は少々注意が必要です。下りる時は更に注意。足場に気を付けないと踏み外して転落する危険なあります。低血圧の人やねぼけて半分しか目が開いていないときは、深呼吸してから下りましょう。 |
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これはヨーロッパのキャンピングカーの中では小さめの車種なので、近所のスーパーでも街中の路上でもほぼ問題なく駐車することができます。内装の構造上ルームミラーがないので、後方はサイドミラーで確認します。最高速度は一応150キロですが、あまりスピードを出すと棚の中身が揺れたり、あちこちガタガタして不快なので、高速道路もせいぜい時速90キロ程度で走るのが一番快適です。どうせキャンピングカーで一味違った旅をするなら、焦って走らずのんびりと車窓から景色を楽しむほうがいいし、燃料の節約にもなります。渋滞にはまっても、キャンピングカーなら車内でトイレに行けるし、冷蔵庫から冷たい飲み物を出したり軽食を作ったり、ベッドで寝てしまうことも可能。急がない旅をしたい人には最適です。実際、キャンピングカーで旅行するのは小さな子供連れよりも熟年が多く、退職金で憧れのキャンピングカーを買ってヨーロッパ旅行生活を楽しむ定年夫婦は非常に多いようです。また、仕事の関係で常にあちこち移動せねばならず、ホテルを探す手間や宿泊費を省くためにキャンピングカーを利用する人もいます。 (市街地の駐車場と、郊外の自然の中での比較) キャンピングカーもレンタカーとして借りることができます。大都市にはほぼ必ずレンタルステーションがあり、4人分の就寝スペースがある中型キャンピングカーなら1週間10万円程度でレンタルできます。ほとんどの車種が日本の普通免許(国際免許証)で運転可能ですが、バスやトラックをベースにした大型車だと中型又は大型免許が必要です。キャラバン型の牽引車は大抵重さが750キロ以上なので、牽引免許が必要になります。運転の際に一番気を付けなければならないのは車の高さ。特に屋根がベッドになっているタイプの車は車高が3m以上あり、屋根がフロントガラス上部に突き出ていたりするので注意が必要です。トンネルの入り口には高さが表示してあるので、「高さ制限2,9m」などのトンネルには絶対入らないようにしましょう。ガソリンスタンドの屋根にも同様の表示があるので、屋根が低いなと思ったらまず高さを確認してから乗り入れます。何も考えずに入って頭上で「ゴリゴリ、バキッ」という音がしてからでは手遅れです。修理代もバカになりません。高さに加えて重さも頭に入れておきましょう。屋上駐車場や小さな橋は最大重量2トンなどの制限表示があることがしばしばあります。また、立体駐車場や地下駐車場には当然入れません。 余談ですが、キャンピングカーに関する民俗学をいくつか。オランダ人の車には必ずといっていいほど後部に牽引車連結用のヒッチが付いています。オランダ人のキャラバン好きは有名で、「カメラを持った日本人団体観光客」と同じように「オランダナンバーの牽引車」がしばしばジョークのネタに使われます。イタリア人のキャンピングカーをキャンプ場で見かけると、外でビールを片手に隣人と談話しているのは男性のみ。女は車内で料理をするのが仕事です。車大好きドイツ人にはキャンピンングカーも当然神聖なる聖体なので、雨風からボディを守るため、わざわざ自宅から離れたところに体育館のような大型ガレージを借りる人もいます。全民族共通なのは屋根の上の大きなアンテナ。これでお父さんたちは休暇先でも自国のサッカーの試合を自国から持ってきたビールを飲みながら生中継で楽しめるわけです。何のために休暇に出かけるのやら。 |
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