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Weißwurst Brezel Weißbier Oh wie lecker! |
「ヴァイスヴルスト赤道（又はヴァイスヴルスト国境）とは、南ドイツのバイエルン州とその他ドイツを区別する文化の境界線を意味する。ミュンヘンの白ソーセージが普及している地域を基準としてバイエルン州の食文化を特徴づけた表現である。」 白ソーセージ赤道は冗談ではなく実際に存在します。国境警備隊はいませんが、ビジネスシーンや真面目な雑誌記事等にも頻繁に使われ、Dudenという権威ある辞書にも載っている立派に認められた単語です。地理的には、ドナウ河を基準に南北を分け、ニーダーバイエルン、オーバーバイエルンとオーバープファルツ地方の一部を除外しシュヴァーベン地方を組み込む説と、マイン河を基準にしたマイン線でバイエルン方言を使う地域で分ける説、又は歴史にプロイセン帝国を基準としてアルトバイエルン、バーデンビュルテンベルク州とフランケン地方も組み込んだ覇権国境説があります。どの説でも、ミュンヘンを中心とした半径１００ｋｍ地域は常に含まれていなければなりません。また、北ドイツ及び中央ドイツ人は白ソーセージ赤道を単に南ドイツとその他の地域を大まかに分ける意味合いで使うことがあります。 ミュンヘンの白ソーセージは他の白ソーセージと区別してミュンヒナー・ヴァイスヴルスト（Münchner Weißwurst）」と言い、子牛肉と豚の背脂と香辛料を原料に作られます。ミュンヘンでは伝統的に早朝に生産され、新鮮なものが午前中に市場やレストランに搬入されてお昼の食卓に並びます。粒入りの甘いマスタードと八の字型のパン「ブレーツェル」、それに白ビール（Weißbier=小麦と大麦を原料とした表面発酵の、炭酸分が多いビール）と共に提供されるのが定番で、バイエルンの食と言えばまず思いつくものです。一方、「白ソーセージ赤道」を越えてしまうとソーセージの種類は別のものになり、ブレーツェルも白ビールも見かけなくなります。違う文化圏に入った証拠です。私はブレーツェルが好物なのですが、主人の実家はヴァイスヴルスト赤道以北のため、近所のパン屋さんには置いていません。そのため南ドイツでわざわざ寄り道をして買い込むのを習慣にしています。 バイエルン州は食だけでなく様々な分野でその他のドイツとは違う、まさに異文化圏です。ドイツでアウトバーンや県道を走っていると、州の境目を示す看板を見かけることがあります。「ようこそノルトライン・ヴェストファーレンへ」「さようならヘッセン」といった具合です。バイエルン州は「Freistaat Bayern (バイエルン共和国)」という看板を使用しており、あたかも独立国家のような表現ですね。これは昔バイエルンがドイツ帝国から独立した自治州だった名残で、他にもザクセン共和国などの表現が今日も使われています。ドイツの政党CDU(ドイツキリスト教民主同盟)は、バイエルン州では活動せず、統一会派の地域政党CSU（バイエルンキリスト教社会同盟）が代わりに活動を行っています。ドイツ語の挨拶「グーテンターク（こんにちは）」は、バイエルン（南ドイツやオーストリア、スイスも含む）では「グリュース・ゴット」と言うことがもっぱら多く、ドイツ語の語彙もアクセントもかなり違うため、標準ドイツ語しか理解できないと話が全くわからないこともしばしばです。バイエルン州の人々は中央ドイツ以北を「プロイセン」と総括し、あまり好意的は見ていません。バイエルンが世界の中心であり、フランクフルト以北は全て北海に面していると信じている人も少なくありません。 バイエルンは、かつては農村のみが広がるドイツのお荷物的な地域でしたが、戦後みるみる発達し、今ではミュンヘンはドイツでも指折りの生活費の高い都市となり、BMWやアウディなどの大企業を抱えるドイツで一番裕福な州になりました。サッカーチームのバイエルン・ミュンヘンは世界屈指の選手を揃えた最強のクラブで数々の大会で優勝しています。食べ物については好みが分かれるところですが、経済、生活水準についてはドイツでは白ソーセージ赤道以南の地域に軍配が上がると言えましょう。 |
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