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海外在住で恋しいものは何ですか

故郷の味と
故郷の人々と

故郷のトイレが
懐かしいー


グローバル化が進む今日、「外国」はどんどん身近なものとなり、海外旅行はもちろん海外で学んだり働いたり、永住することも珍しくなくなりました。2012年の統計によると、日本に住む外国人の割合は総人口に対し2%以下と非常に少ないですが、ドイツやイタリアでは8%前後、スイスにおいては何と総人口の23%が外国人で、道行く人の4人に1人はスイス以外の国籍というので驚きです。ドイツではネオナチによる外国人排斥運動が行われ問題になり、スイスでは移民の入国に関して様々な議論が持ち上がり、国際問題に発展していますが、その話は改めてすることにして、ここでは逆に出身国を離れて外国で暮らす人々の心境について少し考えてみたいと思います。

大学生になって親元を離れ念願の1人暮らしを始め、最初の数カ月は自由を満喫したものの、夏休み頃には実家が恋しくなり、帰ってみたら我が家の心地よさにすっかり浸ってしまい、夏の終わりに都会のアパートに戻るのが辛くなってしまった経験はありませんか。普段当たり前だと思っていたことが当たり前ではないことは、離れたり失ったりして初めて気がつくものです。海外生活も同じで、旅行で10日間滞在するのと、移住して何年間も、もしくは一生住むのとは全く感覚が違います。旅行ならばその国の美しい面だけを見て、例え気に入らないことがあっても数日間我慢すればおしまい。現地の人も旅行者にはたいてい優しく親切にしてくれるし、異国の珍しい料理を試してみるのも面白い。しかし長期滞在となると、住民登録や外国人登録といった面倒なお役所関係から始まり、近所付き合いや職場付き合いなど人間関係を慣れない外国語で築いたり、食材が口に合わなくても他のものは手に入らないのだから自分の舌を変えるしか手段は無し、ベストシーズン以外の自然の厳しさや日曜祝日は完全閉店の商店街・・・など次々と裏面が見えてくるものです。気付いたところでどうにもならないので、何とか生きていくしかありません。

異国暮らしで故郷を懐かしく思うのは世界共通のようで、ネット上には各国の海外在住者コミュニティーが多数存在し、意見が交わされています。新聞、雑誌や移住関係の記事などと合わせて、母国の何が生活に不可欠だと思われているのかまとめてみました。

海外在住のドイツ人が恋しく思うもの
ドイツパン 最も多い意見。どっしりした黒パンからパリっと香ばしいプチパンまで、ドイツパンは食卓に欠かせないもの。バゲットやチャバタでさえ物足りないのに、工場製の袋入りトーストなんて論外。白くてフニャフニャで食べられたものではない。甘いだけの菓子パンも吐き気がするとか。
規律、時間厳守、信頼性、
静けさ、清潔さ
偏見を絵に描いたようなドイツ人の性格そのもの。平面が水平ではなかったり角度がぴったり90度でないと落ち着かず、予定の10分前に来て待機していなければならない。外国のドイツ人は些細な事ですぐ役所に文句を言いに来るので嫌われている。
クワルク、ヨーグルト、
デザート類
クワルクは水を切ったヨーグルトのような独特の乳製品。カップ入りのヨーグルトやプリン、クリーム系デザート類も母国の味が一番らしい。
ハム、ソーセージ 挽肉の食感を残したメットヴルストや血のソーセージ、カレー味のケチャップをかけたカリーヴルストなどドイツ独特のものを懐かしむ意見が多数。
ネガキュス、卵リキュール ネガキュスはネバネバしたマシュマロをチョコでコーティングしたようなお菓子、卵リキュールは卵黄とウォッカと砂糖を混ぜたような甘いお酒で、どちらもドイツでは誰もが口にしたことのある定番。
冬の寒さ、ドイツの保険、
失業手当
常夏の南国に憧れて移住しても、やはり母国の雪景色が恋しくなってしまうとか。以前は批判していたドイツの社会福祉制度も、外国で病気になったり職を失ったりすると素晴らしいものだったと気づく。


海外在住のスイス人が恋しく思うもの
清潔さ、時間の正確さ スイスの電車の正確さは日本と並び世界トップ。清潔さも道路や街のトイレを見ればすぐ分かる。
チョコレート、
多種のチーズ、
フォンデュー、ソーセージ
スイス製のチョコは世界中で売られているが、本国のものでないといけないらしい。ナチュラルチーズの味と種類は確かにスイスに勝るものなし。建国記念日と大晦日に家族友人で囲むフォンデュー鍋と、ツェルヴェラCervelatというソーセージもスイスならでは。
四季 スイスには割とはっきり春夏秋冬の区別があるので、四季折々の変化が見えないと寂しい。



海外在住のイタリア人が恋しく思うもの
家族、友人 最も多い回答。心の通じる同郷人と過ごす時間は何事にも変えられないもの。「上機嫌(Buonumore)」という回答も多く、明るいイタリア精神を懐かしむ人が多い。
トイレのビデ 2番目に多い回答は、何とトイレの「ビデ」。イタリアのホテルで見かける、トイレの横にある蓋のない便器のようなアレ。大きな用を足したあとで、ビデを使っておしりをきれいにしないと落ち着かない、何をもってビデの代用にするか、などあちこちで議論されているほど重要。

ピザ、パスタ、食品 イタリア料理店は世界中にあるけれど、本場の味を再現する店はごく僅か。パンのように分厚いピザや茹で過ぎのパスタ、パインやコーンのトッピングなど言語道断。冷凍食品よりマンマの手作りラザニアが食べたいと思う心情はよく理解できる。
イタリアのテレビ、
ラジオ、映画
母国語の響きはやはり懐かしいもの。ネットや衛星放送が普及したとはいえ、チャンネルをリアルタイムでガチャガチャ回す喜びには変えられない。
夏の暑さ、夜遊び、
かわいい女の子、
16歳から飲酒できること
少数派の意見だが、何となく納得できる。


聞く前から想像できる回答もあれば、意外な答えもありました。ドイツ人は朝食の規律が家族友人よりも大切で、イタリア人は家族とビデなしでは生きていけず、スイス人はスイス以外ものを全て批判する傾向があり、外国に馴染むのは非常に困難なようです。では、海外在住の日本人は何を恋しく思うのでしょうか。回答を多い順に並べてみると、大体

家族、友人、四季、全身浸かれるお風呂、新鮮な魚介類、日本食(母の手作り)、
サイズの合う服、民放のテレビ番組

といった具合です。圧倒的に多い答えは「家族」で、日本人はイタリア人以上に家族の絆が強い民族なのかも知れません。お風呂はあっても風呂場の構造も使い方も違うので、入った気がしない、日本に帰ったら必ず温泉に行くという意見もかなりあります。海のある国でも魚介の食べ方は違うので、美味しい魚を生で食べる機会はなかなかありません。日本食に関しては、ブームに乗って世界中でそれなりに食材が揃うようになったので、やる気があれば海外でもしっかり和食が作れることと、お金さえあれば何でも日本食が食べられるので、(例:スイスではいわゆるコンビニおにぎりが1個4百円、日新のカップラーメンが2百円で売られています。)懐かしむ意見は少なく、和食は実家の母の料理限定で恋しいものということです。服は特に下着を探すのが大変なので、一時帰国の際にまとめ買いが習慣になります。テレビは、バラエティー番組をリアルタイムで見たいという声が少なからずありました。温水洗浄便座を懐かしむ意見は見かけませんでしたが、私は個人的に恋しく思っています。

海外組はどの国出身であれ、本国では優等生、高飛車、又は負け犬、国を捨てて出て行った、などあまり良い評判は立たず、移住先では異邦人、自国民の職場と社会保障を奪う厄介者と見られて、大歓迎されることはありません。ふと寂しくなって故郷を思い出すのも皆同じ。中には戦争で国を追われたり、家族を失くして移住せざるを得なくなった人々もいるのですから、思い出して帰ることができる国があるというのは幸せなことです。迎えてくれる家族や友人がいれば何も言うことはありません。

ちなみに私が温水洗浄便座以上に恋しく思うものは、「家族で囲む鍋」。休日に家族みんなで楽しむ鍋は、世界中のどんな料理にも勝るご馳走で、どんな高級リゾートホテルよりもくつろげる一時だからです。





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