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不動産屋は皆詩人

街の中心部の
歴史的な区域の
日当たりのよい
デザイナー住宅です


外国に長期滞在するなら住む家が必要です。最近は便利な不動産比較サイトがどんどんできて、自宅で手軽に物件を探せるようになりました。どのサイトも構成は大体同じで、最初に都市名か郵便番号、戸建か集合住宅、購入か賃貸かなど簡単な条件を入力すると、その街及び周辺地域の物件が写真付きで並んで出てきます。個別にクリックすると詳細ページに移動して、築年数や広さ、部屋数、設備の解説と写真、それにその物件の詳しい説明を見ることができます。写真はどれも美しいし、物件の説明書きも読んでいると素晴らしいものばかりで、これで手が届く値段ならば、即決してしまいたくなります。しかしここでご用心!相手はプロの不動産屋ですから、どんな物件も最高の状態でプレゼンテーションするために何重にも罠をしかけているのです。写真は初夏の晴天時の静かな午前中にカメラマンが見せたい部分だけ撮ったもの。裏からのアングルや冬の雨の日の景色も想像してみなければなりません。説明書きの「交通の便が最高の中心部」は24時間騒音の耐えない中央駅の裏通りで、「光が流れ込む明るい室内」はただ単に「ビルの陰で真っ暗ではない」という事実かもしれません。ドイツにはMaklerdeutsch(不動産屋ドイツ語)という言葉があるくらいで、彼らの使う言葉を普通に読んではいけないというのは周知の事実です。どんな現実も言い回しを変えれば、たちまち夢の世界になり、しかも隠喩的な表現を使っているだけなので嘘ではないため、詐欺で訴えることもできません。物件の説明書きはまさに詩人でファンタジー作家の不動産業者の腕の見せ所です。最近は不動産屋を介さず直接個人で物件を掲載する人も増えていますが、彼らもプロに負けず巧みな言葉で買い手の興味を引こうと必死です。実際の例を見ながら不動産屋ドイツ語の訳し方を勉強しましょう。


都市部

日当たりのよい場所
完全な日陰ではなく一応日が射す場所、又は一部屋だけ日当たりがよく、残りはビルの陰。日当たりは良いがそれ以外の条件(騒音、交通の便など)は悪い。

中心部の人気のある場所
中央駅に直面した雑然とした一角、一日中騒音が響き、犯罪率も高い。

交通の便の良さは最高です
目の前が大通りで騒音と排気ガスが絶えない。路面電車や大型トラックも常に走行中。

買い物に便利な場所
ドアの前がすぐスーパーで雑然とした道、路上駐車が絶えない、夜中までうるさい。

若者に人気の区域
ディスコや飲食店の騒音が一晩中響く

子供に優しい環境
すぐ側が幼稚園か遊び場で一日中わめき声がする

躍進中の一角
工事現場のど真ん中、もしくは物件自体がまだ未完成、大型トラックが絶えず出入りして砂埃が舞う。

将来性のある住宅街
まだインフラの整っていないニュータウン。

すぐ近くにじゅうぶんな数の公共駐車場あり
家の前には駐車スペースがなく、雨の日も風の日も駐車場から家まで歩いて荷物を運ばなければならない。駐車場がいっぱいの時は更に遠くに路上駐車することになる。

歴史的な伝統ある建物
断熱材も防災設備もない中世にタイムスリップしたような物件。多くは即修理が必要。

史跡保護されている由緒ある物件
あらゆるリフォーム(特に外観)が禁止されており、何もできない。

個性的なデザイン住宅
普通の家具が全く置けない奇妙な間取り、奇抜な色の壁や天井、使い勝手を無視した水回りなど。

クラシカルな天井
古い建物の建築様式の高すぎる天井=莫大な光熱費がかかる。

リビングと一体型のオープンキッチン
リビングの半分がキッチンに場所を取られて消え、家具を置く場所がない。

フランス風バルコニー
床まである大窓に付いた単なる保護フェンス。ルイ14世が立つような優雅な広いバルコニーのことではない。

建物のコンディションは良好で、専門家の目線で必要なリフォームは終了済み
窓ガラスが割れていない、水とお湯が出る、電気が通っている、など言うに及ばぬ項目のみ。壁のヒビ、カビ、床板の傷み、風呂場のタイルなど壊れていてもとりあえず生活できる項目は全て無視。

リフォームの必要あり
この記述があったら本当に即座に徹底リフォームの必要あり。多くは新築するほうが安くつく。

最初の1か月は家賃無料
誰も住みたがらないひどいアパート、その後何年も解約できないような契約書付き。


農村部

緑に囲まれた閑静な土地
人里離れた山奥の誰も住みたがらない忘れられた土地。

自然を愛する人向けの物件
舗装された道も外灯もないような辺境の地にポツンと立つ物件。

牧歌的な土地
辺境の地、又は風向きによっては家畜の臭いが気になる農家のすぐ近く。

自然保護区域の一角にある閑静な土地
家の増築はおろか庭に物置を設置するにも許可が必要な厄介な土地。

子供も安心なファミリー向けの土地
人も車も滅多に通らないポツンと離れた場所。

隣近所に隣接する家はなく、日当たりのよい静かな眺めのよい場所
電気も水道もない高台に建つ山小屋。

スキーやハイキングに最適な保養地の物件
キャンプ場やスキー場が側にあり、観光客やゴミ、犬のフンなどが気になる。バーベキューの煙が漂ってくることもしばしば。

人の手が触れていない自然の中で、日常のストレスから解放され静けさと保養を・・
車で何十分もかけて登らなければならない高地の物件でインフラなし、人の気配なし、事故が起こっても助けに来る人なし。

愛好家向けの物件
人目につかず暮らしたい人用の奥地の物件、又は崩壊寸前の納屋、遺跡のような壊れた建物など実際に見るまで何かわからないサプライズ物件。

物件は車ですぐの場所にあります
徒歩では到達不可能な奥地、高地。車はできれば馬力のある4輪駆動のオフロード車が望ましい。

物件からの眺めは最高で、玄関まで階段があります
断崖絶壁の高台で、重い荷物を抱えて急な階段を登らなければ家に入れない。

井戸のある庭
水道が通っていない。

南側の土地はオープンなので日当たり抜群
現在は空き地でも将来建物が建つ可能性は大いにあり

心を込めて内装リフォーム済み
完全に個人趣味で偏った間取りと内装

物件はXX村の郊外にあります。XX村とYY街間の冬の除雪作業は保証されています
XX村郊外の道は除雪されないので自分で雪かきの必要あり。

(谷間の物件で)冬場も日照時間あり
正午前の1時間ほど日が射し、後は闇の世界。

別荘として最適の物件
電気、ガス、水道、電話やインターネット接続なし。ソーラーパネルとガスボンベで1週間程度の休暇なら生き延びられるでしょう。

極端な例に聞こえるかも知れませんが、決して誇張して書いたわけではありません。私は実際スイスの田舎で「車ですぐ」の物件を探して、ナビは目的地までの距離5キロと言うのに、その5キロが「いろは坂」のようなヘアピンカーブの山道だったことや、「眺めのいいテラス付き」の家を見たら、テラスの下は自殺に最適な断崖絶壁だったといった経験が少なからずあります。ドイツで「バリアフリー住宅」と紹介された物件は、段差がないのはいいものの、ドアが狭くて車いすはもちろん、太った人も通り抜け不可のひどいものでした。不動産屋を通さず直接個人に紹介された物件を見に行ったとき、売り手のロシア系移民の中年女性が、私の主人に色目を使って「昨日夢デ見タノ。青イ目ノアナタクライノ年ノ紳士ガヤッテキテ、コノ家ニ住ムノ。」と予言を始めたこともありまた。売り手、貸し手は物件を魅力的にするのに努力を惜しみません。契約をする前にしっかりと自分の目で物件の状態を確かめ、写真や優雅な描写に惑わされないようにくれぐれも注意しましょう。年間を通しての日当たりや、大雪の場合に道が閉ざされないかなども確認が必要です。建築関係の手工業者の知り合いがいるなら、一緒に物件を見てもらい、助言してもらうのが一番です。百聞は一見にしかず。「丘の上に輝く真珠」は「ブタ小屋」ですから。





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