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ドイツで親知らずを抜く

海外滞在中、突然歯が痛くなりました
かかりつけの日本の歯医者さんは1万キロの遥か彼方

さあ、どうする?
歯痛と毛皮のコート
どっちがいい?
2011年の冬ごろから、右上の奥歯のあたりに違和感がありました。最初はズキズキして、そのうち何やら白いものが歯ぐきを破って突き出てきたのです。私は歯ぐきのトラブルがけっこう多いので、ああ、ついに歯肉後退もここまで来たか、もうだめかも、などと思いながら過ごしていると、その「白い物」は更にどんどん斜め前方に出てきて、最終的には斜めに生えた一本の歯のようになりました。これはただの「親知らず」だったのです。私の親知らずは4本とも埋まったままでしたが、30歳を過ぎてから生えてくるとは・・・。しかも斜め前の妙な角度で唇の裏側に当たって違和感があるし、歯磨きはしにくいし、噛むことは不可能、何より見た目がひどい。幸い痛みは全くないのですが、放置するわけにはいかないので早速情報収集にかかりました。

まずはネットで検索。15分で抜けたという人から4時間全身麻酔の大手術だったという人まで体験談は様々です。抜歯や手術後の痛みについても人それぞれ。でも私と同じ上の親知らずは、たいてい簡単に抜けたとか痛みも少なかったという意見で、下の歯より容易に抜けるらしく、少し安心しました。日本の家族に聞いてみたら、母もつい最近上の親知らずを抜いたそうで、やはり15分程度で楽に抜けた、抜くとき少しゴリゴリって揺さぶるような感覚があるけど、麻酔が効いているから別に大した痛みもないし、その後の出血なんかもあまり気にしなくていいとのことです。しかし、以前叔母が親知らずを抜いたときは、大学病院に入院して歯肉を切開しての大手術で、その後も痛みが何日も続いて流動食しか食べられない悲惨な日々を過ごしたという話も一緒に聞かされ、逆に恐ろしくなりました。

しかし逃げ道はないので歯医者に行くしかありません。ではどの歯医者に行ったらいいか。これも調べたところ、親知らずは歯科医より口腔外科医に抜いてもらったほうがいいとか、何本も一緒に抜く場合は全身麻酔のできる麻酔医のいる病院でやるべきだとか。更に、費用について調べると、日本では大体5千円程度、高くても1万円以下で治療できるようですが、スイスでは最低5万円くらいかかり、10万を超えることも普通だとか・・・。歯医者ジョークで、「(歯医者の夫)今日はまた新規の患者を診たぞ。」「(妻)まあ、じゃあ私また毛皮のコートを買えるわね。」などというのがあるくらい。私が普段行くスイスの近所の歯医者さんは、口腔外科ではなく普通の歯科医。しかし彼はレントゲンと小指の先ほどの歯肉炎の塗り薬で2万円の請求書を書く人ですから、抜歯なんてことになったら1本8万円くらいかかりそうです。ちなみにスイスやドイツでは歯には普通の医療保険とは別に保険をかけなければなりません。けっこうなお値段な上に、ほとんどカバーもしてくれず最低料金しか払ってくれないので、我が家は保険なしで現金払いにしています。更に調べると、スイスでは親知らずは基本的に総合病院で抜くもので、若いうちに4本まとめて抜いてしまうのが普通だ、なんて意見も多数。これはやばい、と旦那に相談すると、ドイツの実家の近くに知り合いで腕のいい口腔外科医がいて、彼も昔そこでインプラント治療なんかをやったことがあるけど、とても満足しているそうです。どうせ近々ドイツに行くからそこで抜けば?と。さっそく電話番号を探し出して問い合わせをして、昔なじみの好で休業日の土曜日に特別に診てもらえることになりました。
金曜の夜ドイツに着いて、次の日の朝、抜歯後はしばらく物が食べられないだろうとしっかり朝食をとってから家を出ました。目的のクリニックは旦那の実家から車で10分ほど。建物はつい最近改装増築したそうで、モダンな外装です。中に入るとこれまた広いきれいな待合室と受付があり、休みの日にわざわざ来てくれた先生と助手が待っていました。初診の質問票に記入をして、まずはレントゲン撮影。その後診療室に移動すると、部屋に大きなモニターがあり先ほどのレントゲン写真が既に転送されていました。右上の親知らずが見事に斜め前に突き出しているのが見えます。他の3本は埋まったままですが、左上は同じく斜めだし、下は真横に寝ているので、これは将来また問題を起こすかも知れないね、と言われました。斜めに生えた親知らずは放置すると他の歯と摩擦を起こして、ひどいと癌の原因になったりすることもあるなど説明もしてもらいました。とりあえず今日は問題児の右上だけ診ましょう、と口を開けると少し全体を見てから麻酔の注射を歯ぐきに打たれました。気付かないほどの速さで痛みはゼロ。10分経ったら2度目の麻酔を打ちますから待っていてくださいと先生はひとまず退室。残された私は口の右半分だけが熱を帯びてしびれてくるのをヒシヒシと感じながら、新築のモデルルームのようなオシャレな診療室を見まわしていました。やがて先生が戻ってきて2本目の麻酔を注射されましたが、もうすっかりしびれているので全く感覚がありませんでした。15分後に抜歯するから、口の中が苦ければうがいを自由にして待っていてと言われました。確かに今度の麻酔は妙な後味があって苦い。けれど、とてもよく効いている感じがするので、きっと15分後にゴリゴリと歯を抜かれてもあんまり痛くないだろう、でも変に斜めに生えてるからもしかして時間かかるかも、脳までズキズキ響くかも、などと妄想しているとあっという間に時間が経ち、先生と助手の女の子が入ってきました。先生はもう一度レントゲン写真を見て、助手に小さなペンチのような器具を用意させて、私には「痛みを感じたら手を挙げてください」との一言。観念して目を閉じて口を開けると、何か奥歯を道具で掴まれて一瞬ちょっと引っ張られた感覚があり、綿のかたまりを入れられて噛むように指示され・・・・・
それでおしまい。椅子の背を元に戻されて、台の上を見ると銀のトレーに血のついた歯が乗っているではありませんか。え?もう抜けたの??5秒もかからなかったけど。私の歯がものすごく抜きやすく生えていたのか、先生の腕がものすごくよかったのか、ドイツの麻酔が恐ろしくよく効いたのか、とにかく無痛の早業でした。血が止まるまで数時間は綿を噛んでおくように言われ、たぶん痛みはないだろうけど、もし痛み出したら飲むようにと鎮痛剤を少しいただいて治療終了。料金は現金払いで230ユーロでした。ドイツでは300ユーロが相場だと聞いていたので、とても良心的な値段だと思います。

特に痛みもないので、そのまま少し街で買い物をしてから旦那の実家に戻りました。口の中は別に血の味もしないし、麻酔も少しずつ弱まり感覚が戻ってきました。お義母さんが美味しそうなムースケーキとコーヒーでお茶の用意をしていたので、誘惑に勝てず左半分の健康な口を使ってティータイムに参加。ムースやスポンジのお菓子は噛まなくてもいいので普通に食べられます。その後数時間で麻酔が完全に切れましたが、痛みはありません。綿も取り出しましたがきちんと血栓ができて血は止まっていました。それでも一応晩御飯はヨーグルトとシリアルにしておきました。夜も普通に寝て、次の日の朝はもう通常通りドイツパンの朝ごはんが食べられました。歯磨きも右奥だけ当たらないようにして普通にできます。3日後にスイスに戻りましたが、特に何のトラブルもなく、1週間後にはイタリアのピッツェリアで大きなピザを丸ごと食べられたし、数ヵ月後には歯ぐきの穴もすっかり塞がりました。

それにしてもどうしてあんなに簡単に抜けたんだろう。やっぱり麻酔の量がドイツ人標準で私には多すぎたのでしょうか・・・ドイツの鎮痛解熱剤アスピリンの巨大な錠剤も私には非常によく効くし・・


日本で親知らずを抜いたときの様子はこちら





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