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夢と現実の職業 大人編

子供の頃何になりたかった? 公務員!

(子供編はこちら
子供の頃憧れていた夢の職業について調べてみると、実際大人になったら現実はどう見えるのか気になってきます。残念ながらクラスの男の子全員がサッカー選手やパイロット、女の子はみんな先生と歌手になれるわけではないので、夢と現実には相当の差があります。ドイツを始めヨーロッパ各国には、若者が16歳くらいから企業や工場で職業実習を行いつつ、同時に学校で理論を学べるというとても有益な制度があるので、大学へ進まない生徒は日本の高校生くらいの年齢で将来の職業を決定し、社会に出て働くことになります。問題は、実際に就きたい仕事を学ぶ場を提供してくれる会社を見つけること。職業実習と言っても見習い給料をもらって大人と一緒に仕事をするので、採用枠は限られており、試験や面接もあります。人気のある職場は倍率も当然高く、逆に人気のない仕事だと新しい弟子が来なくてマイスター(親方)は頭を抱えることになります。

東西ドイツが統一されてからもう随分経ちますが、見えない壁は今でも残っており、職業選択でも多少の差が見られます。まずは、旧西ドイツ地域と旧東ドイツ地域の若者が実習を希望する職業を比較してみましょう。

ドイツの若者が就きたい職業(2012年)
旧西ドイツ地域
1位 小売店販売員
2位 工業機械工
3位 美容師
4位 産業販売員
5位 オフィス販売員
6位 販売員
7位 自動車整備工
8位 医療専門事務職員
9位 ホテル業専門職員
10位 銀行員
旧東ドイツ地域
1位 オフィス販売員
2位 販売員
3位 小売店販売員
4位 自動車整備工
5位 倉庫管理人
6位 工業機械工
7位 コック
8位 産業販売員
9位 管理事務職員
10位 機械電子修理工

職業名を見ると仕事の内容は大体想像できるものの、何だか仰々しい長い名前が並んでいます。ちなみにドイツ語で書くとEinzelhandelskaufmannだのVerwaltungsfachangestellterだの、舌がもつれそうな職業ばかりですが、○○員は販売と事務、○○工は機械いじり系です。パン屋の売り子だって正式名は「ベッケライファッハカオフフラウ」という職業なので、それだけ聞くととてつもなく専門的な難しい仕事に聞こえます。レジ係もベルトコンベアーの作業員も職業訓練のある立派な職業です。

しかし現実には「私は小売店販売員よ!」と鼻高々に自慢する人はあまりいません。これらの一般的な職業は可もなく不可もなく、生きるために仕方なくやっているというイメージです。大人のドイツ人が
ほんとうに楽しんでできる、やりがいのある仕事だと思っているのは

写真家 イベントマネージャー 考古学者/歴史家 マスコミ 裁判官/判事 
建築家 動物飼育係 弁護士 医者 エンジニア (2008年調べ)

高給が期待できる古い職業から最近できた新しい職業まで幅広く夢が膨らんでいます。何となくドイツ人の性格が表れている気がします。逆にドイツ人がなりたくないと思っている職業は

清掃作業員 肉屋 競輪選手 屋根ふき職人 左官/れんが積み工 ガス/水道配管工
保険セールスマン 葬儀屋 コールセンターの仕事 保険仲介業者(2008年調べ)

肉屋には畜殺業も含まれるので、最近(表向きは)流行りの菜食主義風潮のせいで嫌われるのかも知れません。競輪選手はドーピング等で悪いイメージがあるのか、男性はインポテンツや癌になるという噂から好まないのか、どっちにしろ職業としては非常に珍しいので不思議な回答です。屋根や壁やガス水道系の職人業もなぜか人気なし。では、ドイツで世間一般に広く尊敬されている職業は何かというと、上位から順に

消防士 介護士/老人介護士 医師 保育/幼稚園関係の仕事 警察官 
パイロット 判事/裁判官 ゴミ収集作業員 大学教授 教師 (2012年調べ)

という結果でした。人助けと教育は尊敬の眼差しを浴びるようです。


お隣の国スイスではどんな職業が人気を集めているのでしょうか。
スイスの若者が選ぶ職業(2010年)
1位 販売員一般
2位 小売店販売員
3位 (学位付きの)商業経営者
4位 健康に関する専門家
5位 看護、世話の専門家
6位 料理人、コック
7位 電気工事士
8位 メカニック
9位 情報科学者
10位 製図家/図案家/デザイナー
11位 自動車専門家
12位 美容師
13位 小売店事務補助員
14位 家具職人/建具屋
15位 倉庫/流通管理人
16位 庭師
17位 左官/れんが積み工
18位 農業
19位 大工
20位 画家/塗装工/画工

スイスでもドイツ同様、販売員系の仕事を選ぶ人の割合が最も高くなっています。販売員一般というのはレジで会計をする簡単な仕事、小売店販売員は電話の対応や簡単な事務も加わり、商業経営者になると流通一般から会計や法的なことまで幅広い知識が要求されます。健康や世話の専門家というのは老人ホームや医療介護施設で働くスタッフ、情報科学者はFBI捜査官ではなく、パソコン接続やプログラムのインストールなどの仕事です。スイスの若者はドイツでは人気のない家具職人や大工などの伝統ある仕事もやります。銀行業や時計作りを抜いて庭師や農業がランキングに入っているのは特に注目したいところです。


更に南へ進んでイタリア人が就きたい職業を見てみましょう。
イタリア人が就きたい職業
1位 マネージャー、経営、管理職
2位 医療系勤務
3位 サラリーマン
4位 フリージャーナリスト
5位 経営者
6位 俳優/女優
7位 教師
8位 判事/裁判官

イタリア人は子供の頃の夢を大人になっても追いかけているようです。サラリーマンという希望は実に現実的で、ほとんどの人は何らかの形で従業員ですが、ここではたぶん高給取りのサラリーマンを指しているのでしょう。逆に、イタリア人が就きたくない職業は、嫌われている順に

作業員 サラリーマン アパート管理人/守衛 清掃作業員 セールスマン 販売員 家政婦 葬儀屋

という顔ぶれです。ここでもサラリーマンが登場しますが、これはたぶん上司にこき使われる安月給の従業員でしょう。清掃作業と葬式関係はイタリアでもあまり評判がよくないようです。

最後に、イタリア人の大人が憧れる夢のような職業を紹介しましょう。
(2012年調べ)
1位 高級ホテルのベッドのマットレス試験係 Collaudatore di materassi
2位 チョコレートの試食係 Assaggiatore di cioccolato
3位 子犬や子猫の写真選定士 Cercatore di foto di cuccioli
4位 お金持ちの別荘の管理人 Custode
5位 TVウォッチャー TV watcher
6位 スパ・リゾート評論家 Critico di spa e resort

イタリア人でなくとも一度はやってみたい夢のような仕事です。5つ星ホテルのベッドの寝心地を試し、新製品のチョコレートを食べながらかわいい動物の写真を選び、避暑地の誰かの別荘に住み込み、座ってテレビを見て、高級リゾートに出かけてホテルやレストランを回る日々・・・何とうらやましい。




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