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イタリアで路上尋問される

運転免許証
身分証
車輌登録証
全部揃ってますか?

我が家は毎週土曜日の午後イタリアに買い物に行き、ピザ屋で晩御飯を食べて帰るのが習慣です。この日もいつものように問題なく国境を越えてイタリアに入り、郊外のホームセンターやスーパーで買い物を済ませ、まだ時間が早いので街の中心部に戻ってカフェで一息入れようと県道を走っていました。道路は割と空いていたので制限速度ぎりぎりで運転していると、反対車線を走る車が皆パッシングをしてきます。これは、夜やトンネル内では「ライトを付け忘れていますよ」というサインですが、日中は「この先警官の抜き打ちコントロールあり 注意せよ」という警告。親切なドライバー達です。おかげで警官に見つかる前に速度を落としたりシートベルトを締めたり、携帯電話を使うのをやめたりして万全の態勢で堂々とパトカーの横を通り過ぎることができるわけです。私たちはこの辺にありふれているスイスナンバーで、シートベルトも着用しているし、2人乗りの小さな車なので密輸品があるわけでもなく、今まで検査されたことはありません。今回も素通りで大丈夫だろうと何も考えずに走り続けると、前方に確かにパトカーが止まっています。警官が二人、一人は既にイタリアナンバーの車を1台検査中、もう一人はパトカーの横でマシンガンを片手に仁王立ち。イタリアではよく見かける光景です。あのマシンガンは近くで見るとなかなかの迫力で、悪い事をする気になれません。そして案の定私たちは「そのまま通ってよし」とマシンガンの警官が手で合図をしたので、こちらも手で挨拶して通り過ぎました。

200メートルほど走るとまた別のパトカーがとまっています。こちらは機材を備えたボックス車で外にはやはり警官が二人。今度も素通りするつもりでいたら、何と脇に停車するように合図されました。後ろめたい行為は何もしていないので、素直に車をとめて窓を開けると警官の一人がやってきて、「運転免許証を見せてください」と言います。旦那が運転していたので、私はバッグの中から彼の免許証を出して渡しました。すると警官は「あなたの免許証も提示してください」と言ってきます。私は助手席に座っていただけなのに、なぜ?法律改正で乗員は全員免許の取得が義務になったのかしら、などと首をひねりつつ、自分の免許証も渡しました。私の免許証は日本の普通免許をスイスの交通局で書き換えたもので、顔写真、生年月日、登録番号などが記載された公式なスイスの免許証です。警官はこれをしばらく眺めて考え、「・・・・ユーゴスラヴィア??」と一言。旦那が間を入れずに「日本!!」と返すと、警官は納得して、「ああ、日本ね。では、ちょっと待ってください」と私たちの身分を調べにパトカーのほうへ行き、もう一人の警官とパソコンでデータ照合などをして、しばらくして戻ってきました。笑顔で免許証を2枚返してくれ、「問題ありません。お手数でした。よい週末を。」と挨拶し、抜き打ち検査終了。私たちは再び旦那の運転で市内に向かいました。
車中での話題はまず、「なぜユーゴスラヴィア??」「東欧人って確かに黒髪だけど、東洋と東欧は全く違うでしょ・・・」「免許に何か書いてあった?」今までじっくり見たこともなかった自分のスイスの免許を見ると、生年月日の下に国籍らしき欄があり、アルファベットで一文字「J」の記載がありました。「J・・・Jから始まる国でまず思いつくのって普通JAPANだよね・・・せめてジャマイカとかさ。大戦中スイスはユダヤ人のパスポートにJのスタンプ押したりしたから、更に進んでイスラエルとか。でも、どう考えてもユーゴスラヴィアはないでしょ。大体ユーゴスラヴィアって国自体がもう存在しないのに。」「イタリアには地理の授業がないとか。」「・・・いや、待って。イタリア語ではジャパンはジャッポーネ(Giappone)だからGになるのだよ!」「うーん確かに・・・でも普通は国際語の英語で考えるでしょ。」「フランス語でもスペイン語でもGだよ。」「だからって・・・」
まあ、これで一応国籍の謎は解明しました。次の疑問は、なぜ助手席の私も検査されたのか、そもそもなぜ私たちが引っかかったのか。

「たぶん私が明らかに外国人だからでしょう。不法入国か、強制労働だと思われたのかも。」「つまり、バーの前でよく見かける東欧や南米のお姉さんたちの一人だと疑われたわけ?」スイスは風俗営業法がイタリアよりも緩いので、「ナイトクラブ」がけっこうたくさんあります。暗くなるとお店の前で金髪や黒髪、国籍も年齢も様々な女の人たちがタバコを吸ったりおしゃべりをしている光景をよく見かけます。こういったお店は全てが違法とは言えませんが、際どい商売であることは確かでしょう。あのきれいなお姉さんたちも、全員が正式な労働許可証やビザを持っているとは考え難いものがあります。自分の意思で出稼ぎに来ている人もいるのでしょうが、騙されたり無理矢理連れてこられたり、誘拐されてきた人だっているかも知れません。暴力を受けたり、身分証やお金などを全て取られて逃げることもできない状況もあるでしょう。
私は路上検査された当時30代前半、ごく普通の服装で化粧も髪も何も目立つ格好ではありませんでしたが、ナイトクラブのきれいなお姉さんたちもオフの時は普通の格好をしています。走っていた道はミラノ空港やジェノヴァ港からスイスに向かう一般道路。旦那は常識的で怪しいところは全くない外見ですが、真っ黒なサングラスをかけていれば夜のお仕事仲介業者に見えないこともありません。深く考え過ぎかも知れませんが、警官もその筋を疑ってコントロールしたのだと思います。
私は極めてまともな人間で、礼儀作法も心得ているつもりですが、外国にいれば「一人の外国人」です。欧米なら「一人の東洋人」。通りすがりの人からは中身や学歴等は関係無く外見のみで判断されます。心得のない人々に「中国人」とか「チンチャンチョン」などと呼ばれることにはもう慣れましたが、いつだったかドイツで酔っぱらった若者集団に「(出会い系の)カタログの女が歩いてる」と言われたこともあります。外国人差別はどこの国にもあるので仕方ありませんが、残念なことです。

そんな経験もあり、私は国籍や職業を疑われて身分証を検査されることに特に抵抗はありません。疾しいことは何もないし、むしろ、そういった検査で本当に強制労働させられている女の人が助かることもあるでしょう。麻薬や武器の密輸も一般の乗用車で頻繁に行われているし、外国ナンバーで国境付近に停車して物乞いや詐欺を繰り返す輩もいるので、コントロールされることはむしろ自身の安全のためと思えば気分を害されることもありません。
日本人はモラルのある民族で日本は本当に安全な国ですが、外国には悪い人がたくさんいます。旅行の際はくれぐれも注意してください。





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