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シュトーレンVSパネトーネVSパンドーロ

バターとレーズン
たっぷりの
イースト生地
ヨーロッパでは11月半ばごろからクリスマスの準備が始まり、店先に様々な装飾品やお菓子が並ぶようになります。その中で特に目立つのがクリスマスケーキ。ケーキと言っても日本のようなデコレーションされた可愛らしいクリームケーキではなく、ずっしり重い伝統的な、むしろ菓子パンに近いものがこちらのクリスマスケーキです。ドイツやスイスのドイツ語圏では「シュトーレン」、イタリアでは「パネトーネ」が代表です。名前は日本でもすっかりお馴染みですが、どんなものか詳しく知っていますか?


シュトーレン Stollen
シュトーレン(シュトレン、クリストシュトレン Christstollen)は、衣に包まった赤子のキリストを模った宗教的なパンで、もともとは14世紀の修道院でクリスマス前の食断ち期間の食べ物でした。この期間中はバター、卵、牛乳を摂ることが禁じられていたので、当時のシュトーレンは水と粉と甜菜油のみで作られました。しかし素朴すぎる味がキリスト教徒の貴族に不満だったため、ザクセン選帝侯エルンストとその兄弟が教皇ニコラウス5世にバターの使用許可を請いますが、却下されます。60年後イノセンス8世時代にやっとバターの使用が認められるようになりました。シュトーレンはその後食断ち用の粗食からクリスマスのお祝い用のパンとして改良され、レーズンやドライフルーツが加えられるようになり、現在に至ります。最も有名な「ドレスナーシュトーレン Dresdner Stollen」は、ドイツで最も古い歴史を持つザクセン州ドレスデン市のクリスマスマーケットで売られていたのが由来で、ドレスデンはシュトーレンの代名詞のようになりました。そのためドイツ全土で「ドレスナーシュトーレン」という商品が出回るようになり、困ったドレスデン市のパン協会がドレスナーシュトーレンという名前を商標登録し、現在はドレスデン市内の134軒の選ばれたパン屋と菓子屋で作られたシュトーレンのみ「ドレスナー」という名前でシュトーレンを売ることを許可されています。
商用生産される基本のシュトーレンの原則は法律で以下のように定められています。

シュトーレンは少なくとも30Kgのバターかマーガリンかショートニングに対し60Kgのドライフルーツ(種類はレーズン、サルタナレーズン、ブラックカラントのいずれかとオレンジピール、レモンピールのみ)、100Kgの粉と澱粉を含まなければならない。ピーナッツ、クルミなどの木の実を混ぜてはならない

バターやレーズンが少なすぎるものはシュトーレンとして売ってはいけないのです。そのため安いシュトーレンでも中身たっぷりでそれなりの味がします。高いものとディスカウント店のものの違いはバターの香りくらいでしょうか。
シュトーレンには様々なバリエーションがあり、アーモンドたっぷりの「マンデルシュトレン」、バターの割合が多い「ブターシュトレン」、マジパンを巻き込んだ「マツィパンシュトレン」、ケシの実ペーストを練り込んだ「モーンシュトレン」などがあります。



パネトーネ Panettone
パネトーネはミラノ発祥のクリスマスのお菓子。直径、高さ共に20センチくらいの大きなドーム型が特徴です。完全に焼き上げないしっとりした生地にはフルーツピールとレーズンがたっぷり入っており、スライスして甘い飲み物やデザートワインなどと一緒に食べます。
パネトーネは全重量の少なくとも2割をフルーツピールとドライフルーツ、1割をバターが占めなければならないと定められています。また、酵母をゆっくりと育てなければならないため製造には時間がかかります。賞味期限は6カ月以上とかなり長く、
クリスマスに買い込んでおけば初夏まで楽しめます。パネトーネのアレンジ商品にはチョコレートでコーティングされたもの、ドライフルーツなしのもの、中にレモンやマスカルポーネチーズのクリームが入っているものなどが売られています。
パネトーネの名前の由来は数多くの伝説が残っていますが、一番の有力説はこんなお話です。1495年のクリスマスイブにスフォルツァ家出身のミラノ公爵が晩餐会を開き、料理人達は腕を奮って見たこともないような最高のご馳走を食卓に次から次へ並べました。しかし他の料理にあまりにも手をかけて、うっかり全員がオーブンに入れたデザートのことを忘れてしまったのです。気づいたときにはデザートは真っ黒焦げ。しかし、晩餐会をデザートなしで終わらせるわけにはいきません。困った料理長が見習いコックに何か厨房の残っている食材はないか探させると、パン生地とドライフルーツと砂糖が少々見つかりました。見習いコックはこれらを全て混ぜ合わせてオーブンに入れ、半分ほど焼き上がったところでデザートを待ちわびている公爵と来賓にこの不思議な食べ物を運びます。料理人達はどんなお咎めを受けるか気が気ではありません。公爵は興味深々にこのデザートを口に入れ、その美味しさに感嘆の声を上げます。他のゲストも次々に試食し、皆ご満悦。公爵がこの料理を作った者の名前を聞くと、見習いコックは「トニーと申します」と答えました。公爵が「トニーのパンだ!(il pan de Toni!)トニーに祝福あれ!」と叫んだことから、トニーのパンはパーネットーニ、パネトーネと呼ばれるようになったのでした。
私が個人的に好きな食べ方は、厚めに切ったパネトーネをオーブントースターでこんがり焼いたもの。表面はカリカリ、中はふんわり柔らかくてバターの香りがしてとても美味しいですよ。


パンドーロ Pandoro
パネトーネと並んでイタリアのクリスマスに欠かせないのが「黄金のパン」、パンドーロです。ヴェローナ産のものが一番有名で、名前の由来は卵黄とバターの黄金色の生地だと考えられます。パンドーロにはレーズンもフルーツピールも入りません。独特の星型の焼き型が使われ、食べる前に全体に粉砂糖を振ります。切り方は縦に角を切り取るように分ける方法と、横にスライスして星型を残すやり方があります。
フランス人はパンドーロはフランスのブリオッシュが起源だと主張し、イタリア人はパンドーロはルネサンス期のヴェネツィアで生まれ、当時の裕福な商人が焼き菓子の上に金箔を乗せたものをパンドーロと呼んでいたと信じています。
私はこれを卵液に浸してフライパンでこんがりとフレンチトースト風に焼いて食べるのが好きです。カロリーを気にしなければとても優雅なクリスマスのブランチになります。





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