ヨーロッパで暮らす ー 日独伊+瑞 日々の生活   メール
Home 日常生活 観光、旅行 お料理、レシピ その他あれこれ
ノヴェッロ Novello

ボジョレーだけと
思うことなかれ


その年の初めにできた新しいワインといえば誰でも思い浮かべるのがフランスの「ボジョレー・ヌーヴォー Beaujolais nouveau」です。ボジョレー・ヌーヴォーは正確にはボジョレー地方でできた若いワインなので、フランスでできた新しいワイン全般を指すなら「ヌーヴォー Nouveau」や「プリムール Primeur」という呼び方をします。

ヨーロッパのワインの産地はフランスだけではありません。ワインのブドウが育つ生産地には当然どこでもその年の新しいワインが存在します。オーストリアの「ホイリゲン Heurigen」、スペインの「ヴィーノ・ホヴェン Vino joven」、そしてイタリアの「ノヴェッロ Novello」などが挙げられます。

これらの若いワインには赤ワインならピノ・ノワール、サン・ローラン、白ワインならミュラー・トゥルガウ、ソーヴィニヨン・ブラン、モスカートなどの品種が使われるのが一般的です。ボジョレー・ヌーヴォーは赤ワインの原料になるガメイ種のぶどうを使って作られ、毎年11月の第三木曜日に解禁されるので、もし白ワインのボジョレー・ヌーヴォーや11月の上旬に出回っているものがあったら、それはボジョレー・ヌーヴォーとは呼べません。ただ単に「ヌーヴォー」であればボジョレー産ではなくフランスのどこか別の地域の若いワインなので赤でも白でも問題はありません。



さて、話をノヴェッロに戻しましょう。イタリアはワインの産地として知られており、ロンバルディアやヴェネト、トスカーナ、シチリアなど全国でぶどうの栽培が行われています。気候が温暖なのでぶどうの収穫は9月上旬に始まり、10月下旬まで続きます。初期に収穫されたぶどうは6週間後には最初のワインとして瓶詰されて出荷準備が整います。伝統的には11月6日がノヴェッロの解禁日でしたが、農業法の改正で現在は10月30日が解禁日となっています。イタリアはフランスよりもその年最初のワインが出荷されるのが早いため、ノヴェッロはワイン通の間ではその年のワインの出来具合を知るための「アペタイザー」の役割を果たします。ノヴェッロの出来がよければヨーロッパの他の地域のワインもその年は当たり年である、というわけです。

フランスのボジョレー・ヌーヴォーはぶどうを搾らずに全て皮ごと樽(タンク)に入れて発酵させ、出てきた炭酸ガスの力でアルコールが生成されます。イタリアのノヴェッロは原料のぶどうの3割が皮付きで、残りは普通のワインと同様にぶどうの果汁を搾ったものを使います。そのため、ボジョレー・ヌーヴォーが長期間の保存に向かないのに対してノヴェッロは比較的長く保存することができます。しかしながらノヴェッロの特徴は「新しい」という名前の通りまだ完全にアルコール熟成が進んでおらず弾けるようなシュワっとした口当たりにあるので、出回り始めたら購入して素早く飲み切ってしまうのが正しい楽しみ方だとされています。大量生産されているわけではないので、ほとんどはイタリア国内で消費されてしまい、輸出に回されるのはごくわずかです。国内でも10月の終わりに解禁され、数週間後には店頭から姿を消してしまうので、飲みたいなら早い者勝ちでボトルを確保しなければなりません。

ノヴェッロのアルコール分は11%程度で、12度から15度程度の温度で飲むと爽やかな口当たりを最も楽しむことができると言われています。ピザやパスタ、軽めのイタリア料理や地中海風の料理によく合い、やや辛口で口当たりが軽いので飲みやすく、透き通ったきれいな色のワインです。イタリアでは安いものなら2,5ユーロ程度(330円)、高くても10ユーロ(1300円)に満たないので気軽にいろいろな銘柄を買って楽しめます。ラベルも秋の始まりをイメージしたような枯葉やブドウのデザインが多く、カラフルでつい見とれてしまいます。11月上旬にイタリアを旅する機会があれば、スーパーマーケットのお酒売り場に並んでいるノヴェッロを是非手に取ってみてください。











+企業の商品開発アンケートやサンプル商品調査に参加して、ポイントに応じて現金や商品がもらえます+
マクロミルへ登録

Home 日常生活 観光、旅行 お料理、レシピ その他あれこれ


Copyright(C) 2012 Washira All Rights Reserved. フリー素材*ヒバナ *  *
inserted by FC2 system