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ミラベル Mirabelle

黄色いサクランボ?


夏にフランスを旅すると、市場やスーパーで見かける小さな黄色い果物。サクランボとは違うし、プラムにしては小さいし、ブドウでもありません。名前を見ると、Mirabelleと書いてあります。ミラベルってお菓子屋さんやレストランの名前で聞いたことがあるけれど、果物の名前だと知っている人は少ないのではないでしょうか。この小さな可愛らしい果実ミラベルは、アニメの登場人物ではなく立派なスモモの一種なのです。

ミラベルはスモモの中でも最も小さい種類に属し、果実はウズラの卵程度の大きさで1個10gにも満たないほどの重さです。丸くて黄色い実は、熟してくると朱色の斑点が見られるようになります。果肉はしっかりしていて、オレンジがかった黄色です。種は果肉からスルっときれいに離れるので、大量に種抜きをするのもそれほど苦になりません。栄養素はプルーンとよく似ていて、ビタミンB群、ビタミンC、カリウムが豊富です。ペクチンが多く含まれるのでジャムにするにも適しています。おなかの調子を整える働きもあります。味は、やはり生のプルーンを濃縮したような感じで、トロっとした甘みと程よい酸味と苦みがあり、一度食べると病みつきになります。

ミラベルの産地で有名なのはフランス。15世紀から栽培が行われ、最も有名なのはロレーヌ地方の「ナンシー」という品種です。18世紀頃からドイツ、オーストリア、スイスでも栽培されるようになりました。現在市場に出回っているものは中央及び南ヨーロッパと北アフリカ産のミラベルで、収穫は7月中旬から9月にかけて行われます。生の果実は傷みやすいので、買ってきたら乾燥しないように袋に入れるなどして冷蔵庫で保管し、2,3日のうちに使い切るのがベストです。果肉がしっかりしているので冷凍保存も可能です。よく洗って半分に割って種を取り、バットに並べて冷凍してから袋に詰めると10カ月程度保存することができます。冷凍したミラベルはそのままケーキ生地の上に並べてオーブンで焼くことができるので便利ですが、多少水っぽくなってしまうのは避けられません。

ミラベルを使ったレシピは、プラムやプルーンなど他のスモモに比べるとあまり多くありません。それほど頻繁に栽培されている果物ではないためか、フランス以外ではスーパーでお目にかかる機会も少なく、更に季節限定のため、ミラベルという果物を知らない人もたくさんいます。瓶詰やジャムなどの加工品は見かけても、生の果実を食べたことがある人は非常に少ないようです。さて、保存もできて一番手っ取り早いのは、ジャムかコンポートです。どちらも生のプルーンで作ったものと似た味になりますが、色はきれいな黄色で、凝縮された甘酸っぱさがあり非常に美味しく仕上がります。フランスではミラベルのクラフティが人気です。チェリーのクラフティと同様に、果物を耐熱皿に並べて生地を流してオーブンで焼くだけ。ドイツ風に天板に生地を流して大きく焼くミラベルのクーヘンもおすすめです。ミラベルは加熱すると甘みが増して果肉がトロっと柔らかくなりますが、水分はそれほど出ないので、オーブンで焼くお菓子に向いているのです。もちろん果実を加工せずに生のままで食べてもいいし、他の果物を合わせてマチェドニア(果物サラダ)にしても美味しくいただけます。上級者はチャツネや甘さ控えめのコンポートにしてお肉料理の付け合わせにしたり、鹿や鴨などクセのあるお肉と一緒にローストしてソースを作ってもいいでしょう。珍しい果物ですが、もし手に入ったら是非お試しあれ。


(左からミラベル、プラム、プルーン。全て我が家の庭の果物です。)


ミラベルのコンポート
(2人分)
ミラベル500g程度を洗って種を取り、小鍋に入れて火にかける。砂糖大さじ1とラムやグラッパなど透明な洋酒とレモン汁少々を加えてスプーンでかき混ぜながらしばらく加熱する。適度に水分が出てきて果物全体に火が通ったら、火を止めてそのまま冷ます。
(写真はミルクライスに添えたもの)
ミラベルのクラフティ
(直径32センチの耐熱皿1枚分)
牛乳150cc、小麦粉70g、卵1個、砂糖50g、バニラエッセンスを混ぜて寝かせておく。その間にミラベル500〜800g程度を洗って種を取り、バターを薄く塗った耐熱皿に並べる。オーブンを180度に予熱し、生地をミラベルの上にそっと流して30分焼く。冷やして食べるとおいしい。
(写真はチェリーも使いました)
ミラベルのクーヘン
(天板半分又は直径24センチ程度のケーキ型1つ分)
ミラベル1キロ程度を洗って水気を切り、半分に割って種を取っておく。
バター80gと砂糖80gをすり混ぜる。卵2個をバターと分離しないよう少しずつ混ぜ合わせる。小麦粉130gとベーキングパウダー小さじ1,5杯を混ぜ合わせ、バターのボウルにふるい入れてサックリ混ぜる。生地を型に入れて均等に伸ばす。ミラベルを生地の上にきれいに並べ、180度に予熱したオーブンで30分程度焼く。完全に冷め切らないでまだ少し温かいうちに、固く泡立てた生クリームを乗せて食べるとおいしい。

ミラベルのシュトロイゼルクーヘン
上記のミラベルのクーヘンと同様に果物を並べるところまで作業をしたら、ボウルにバターと砂糖を60gずつ入れてフォークの背でつぶすように混ぜる。小麦粉90gを加えて更にフォークで混ぜて、パラパラのクランブル状になったら果物の上に散らす。後は同様に180度のオーブンで30分焼く。シュトロイゼルとはドイツ語でバターと砂糖と小麦粉の「そぼろ」の意味。






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