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イタリアの蒸留酒 グラッパ |
ワインのぶどうの 搾りかす 再利用できないかな |
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グラッパはぶどうの搾りかすを原料にして、イタリアか南スイス、ティチーノ州で作られる蒸留酒です。ぶどうの搾りかすを加工せず直接蒸留する製法のみが認められており、他の酒から加工したり混ぜたりすることは厳しく禁じられています。そのため他の蒸留酒より製造工程が複雑で、特殊な器械が必要になります。グラッパという名称はイタリアかティチーノ産の製品のみに使用され、原料のぶどうもこの地域で生産されたものだけを使うことがEUの法律で定められています。 搾りかすの元になるぶどうは赤でも白でも構いません。グラッパの原料にふさわしいぶどうの種類はブラケット(赤)、ゲヴゥルツトラムネール(白)、モスカート(白)、ネッビオーロ(赤)などの伝統的な品種ですが、ソーヴィニヨン・ブラン(白)やシャルドネ(白)といった比較的新しい品種も使われます。単一種のぶどうを使ったグラッパは稀で、普通は数種類のぶどうの搾りかすを混ぜて原料にします。 グラッパは最低半年間熟成させ、アルコール度数は最低でも37,5%以上であることが決められています。熟成初期の段階で既に特徴ある芳香がついているので、あまり長く熟成させず、樽熟成も行わない無色透明の若いグラッパが一般的に飲まれています。近年は特別な木を使った樽(洋梨、りんご、アーモンド、桜、ニワトコなど)で熟成させて香りのニュアンスを楽しめるグラッパも見られます。 グラッパの歴史 11世紀の十字軍遠征時代の初期に、蒸留技術がイタリアに伝わりました。15世紀、ヨーロッパ最古の医科大学であるイタリアのサレルノ大学の研究者が、ぶどうの搾りかすを使った蒸留酒を薬として使うために開発したのがグラッパの起源だと言われています。以後蒸留技術はイエズス会の修道士を中心にイタリア全土に広がり、グラッパは高価なワインの代わりの大衆向けアルコールとして定着しました。イタリア統一運動以後、国民にイタリア人としての民族意識が高まると、グラッパも国を代表する酒としてその地位を確立します。第一次世界大戦中、イタリア兵士は戦場の恐怖を和らげるために毎日グラッパの供給を受けていました。20世紀半ば以降、貧しい農民の「カストリ酒」という起源は取り払われ、グラッパは食通のための世界に通用する飲み物として注目を集めるようになりました。 |
グラッパの等級づけ ANAG (Associazione Nationale Assaggiatori Grappa e Acquetivi, イタリア・グラッパ及び蒸留酒の試飲協会)によるグラッパの等級づけは以下の通りです。 |
若いグラッパ Grappa giovane ぶどうの種類と発酵の仕方、蒸留法により味と香りが決定される |
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若い風味のあるグラッパ Grappa giovane aromatic 若いグラッパと同様の製法だが、特別に識別できる風味のあるぶどうが使用されている(モスカート、ミュラー・トゥールガウ、トラムネール、ソーヴィニヨンなど) |
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樽で精製されたグラッパ Grappa affinata in legno 木製の樽で短い時間寝かせたグラッパ |
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樽で精製された風味のあるグラッパ Grappa affinata in legno aromatic 特別に識別できる風味のあるぶどうを使用し、木製の樽で短い時間寝かせたグラッパ |
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樽で熟成されたグラッパ Grappa invecchiata 木製の樽の中で最低12カ月熟成させたグラッパ。中でもRiserva やStravecchiaという表示は18カ月以上熟成させたものだけに認められている。 |
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樽で熟成された風味のあるグラッパ Grappa invecchiata aromatic 樽で熟成されたグラッパと同様の製法で、原料のぶどうが特別に識別できる風味のある品種であるもの |
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香りづけされたグラッパ Grappa aromatizzata 植物性の原料を使って特別に風味づけされたグラッパ。香りの原料はアニス、はちみつ、クローブ、ラズベリー、アーモンド、コーヒー、ペパーミント、西洋ニワトコなど様々。 |
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特定の産地表記のあるグラッパがありますが、これは原料のぶどう生産から蒸留まで全ての工程がその地域行われ、かつアルコール度数が40%以上の製品のみに許された表示で、グラッパという名称と同じくEUの法律で使用条件が定められています。産地と表記は次の通りです。 Grappa di Barolo ピエモンテ州のバローロ村とその周辺のいくつかの村 Grappa del Piemonte ピエモンテ州 Grappa della Lombardia ロンバルディア州 Grappa del Trentino トレンティーノ Grappa dell’Alto Adige アルト・アディジェ地方 Grappa del Veneto ヴェネト州 Grappa del Friuli フリウリ また、グラッパにもイタリアワインと同様に、イタリアのワイン法の表記DOCG(統制保証原産地呼称)DOC(統制原産地呼称)IGT(地域特性表示)などが使われます。 グラッパの楽しみ方 基本はストレートで食後酒として楽しむ飲み方です。イタリアには「グラッパグラス」という専用のグラスがあり、細長く下半分は丸みを帯びて、チューリップの花のような形をしています。この特殊な形がグラッパの香りを長時間グラスの中に保ってくれるのです。熟成したグラッパはコニャックグラスで飲むほうがいいようです。若いグラッパは10度前後、熟成したグラッパは16〜18度程度の温度で飲むのが適しています。グラスに4分の1ほどグラッパを注ぎ、10分程度待って空気となじませ、グラスをあまり長く鼻先に保たずに数回で飲み干します。グラッパを多目に飲みたいときは、決してグラスに並々と注がず、少量を何回も楽しむようにします。イタリアの飲み物リストには「カフェ・コレット Caffe corretto(訂正したコーヒー)」というコーヒーがあります。 |
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これはエスプレッソコーヒーにグラッパを少々混ぜたもので、大変人気があります。柑橘類のジュースで割ったグラッパ・サワー、炭酸水で割ったグラッパ・ハイボール、またプロセッコ(発泡ワイン)と混ぜてロングカクテルや食前酒として楽しむ飲み方もあります。 グラッパは料理酒としても大活躍します。メイン料理のソースの隠し味や、フランベ、デザートのクリームの香り付け、焼き菓子の生地に混ぜたりと使い方は無限大です。私は別ページでレシピを紹介している「ティチーノ風パンのトルテ」には必ずグラッパを使います。 |
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グラッパの値段 イタリアのスーパーマーケットでは若い安価なものが千円以下で手に入ります。2千円程度でじゅうぶん美味しいグラッパが出回っていますが、2万円以上の高価なグラッパもあります。贈答用にグラッパグラスがセットになったものや、変わった形のボトル入りなど様々な品があるので、イタリア旅行中、時間に余裕があればスーパーや酒屋で探してみるのも面白いでしょう。 |
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