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フレッシュチーズの違い

真っ白でクリーミーな
食品は何でも
美味しそう


ヨーロッパのスーパーマーケットの乳製品の棚を見ると、どの国でも種類の多さに驚かされます。カップに入ったヨーグルトやデザート類はもちろん、お菓子や料理に使うと思われる不思議なクリーム類やパンに塗るペーストのようなもの、更に同じ種類でも脂肪分が違うものが何種類もあったりして、目が回ります。これらは全て「フレッシュチーズ」に分類される乳製品で、ゴーダやチェダーのようなハード系のチーズでもカマンベールやゴルゴンゾーラのようなソフトなカビ系のチーズでもない、熟成させずに新鮮なものを食べるタイプのチーズです。ヨーロッパには(特にスイスは)チーズの種類が星の数ほど存在し、どのチーズにも独特の味わいがあります。ハードチーズやカビチーズは苦手な人も、フレッシュチーズはクセがないのでヨーグルトのような感覚で楽しむことができます。料理の本やお菓子のレシピにも頻繁に登場し、フレッシュチーズなしでは食卓が完成しないほどです。

フレッシュチーズと一言で言っても、国や地域ごとに様々な種類があるのでしっかり違いを知っておかないと失礼です。見た目は全て同じ真っ白なクリーム状ですが、酸味や舌触り、脂肪分などが全く違い、食べ比べてみるとびっくりします。代表的なものをいくつかご紹介しましょう。



クワルク Quark

低温殺菌した牛乳に酵素や乳酸菌を加えてたんぱく質を凝固させたもので、凝乳、カードなどと訳される。味は水切りヨーグルトに似ていてほのかに酸味があり、クリーミー。含まれる脂肪分によって0.5%程度の低脂肪クワルク(Magerstufe)、20%程度のクリームクワルク(Halbfettstufe,Rahmstufe)、40%のダブルクリームクワルク(Doppelrahmquark, Sahnequark, Vollfettstufe)などがある。ドイツやオーストリアのチーズケーキは基本的にフィラデルフィアなどのクリームチーズではなくクワルクとバニラプリンの素を使って作られる。100gあたりのカロリーは低脂肪クワルクが70kcal、脂肪分20%だと100kcal、40%だと150kcal程度。
オーストリアではトプフェン Topfenと呼ばれ、団子状の料理(クネーデル)やシュトゥルーデルと言う焼き菓子に欠かせない材料。ヨーグルトの棚にあり、クワルクに果物を混ぜたようなデザートやバニラ味などのクワルクも売られている。
リコッタ Ricotta

イタリア語で「再び煮た」という意味で、チーズを作る過程でできるホエー(乳清)を煮詰めて作るので文字通り2回加熱して作られる。ホエーに蒸気を通して加熱し、浮き上がるたんぱく質の凝固物を布で包んだり網状の型に入れて圧迫して水気を切って作る。表面は木綿豆腐のように粗く、口当たりもザラっとした感じが特徴的。乳糖が多いので酸味はなく、ほのかな甘みがあって豆乳を思わせる懐かしい味。100g当たりのカロリーは70〜100kcal程度。生クリームなどを加えてコクのある味わいに仕上げた製品もある。イタリアでは刻んだほうれん草とリコッタを混ぜてラビオリやカネロニの詰め物にするほか、レモンやピスタチオで風味をつけてチーズケーキ風に焼いたリコッタが人気。
マスカルポーネ Mascarpone

北イタリアのロンバルディア州が発祥の地と言われている。牛乳ではなく生クリームに熱を加えてクエン酸で凝固させて水気を切ったものなので、脂肪分が多くて濃厚な味わい。酸味はなく、そのまま食べてもお菓子になるくらいねっとり感がある。脂肪分は80%もあり、100gあたり420kcalと高カロリーなのでダイエット中は注意。ティラミスの材料として欠かせないほか、果物に添えたりムースにしたり、シチューや煮込み料理のアクセント、肉料理のソースなど幅広く使われる。

カッテージチーズ Cottage cheese

ドイツ語圏ではヒュッテンケーゼ Hüttenkäseという名前で知られている。温めた牛乳に乳酸菌と酵素を加えてたんぱく質を凝固させ、ホエー(乳清)を取り除いてできた凝乳(カード)から更に水分を除いて作られる。小さな丸い粒状のポロポロした形が特徴的で、サラダや果物に添えたり、ハチミツやハーブを混ぜてパンと一緒に食べる。脂肪分は20%程度のものが主流で、100gあたり100kcal程度。
クリームチーズ Cream cheese

カッテージチーズと同じ製法で、牛乳に生クリームを加えてから凝固させることでコクのある味ときめ細かくなめらかな食感にしたもの。圧力を加えて固めに仕上げたものや、クワルクのように柔らかめでクリーミーなものがある。低脂肪タイプから脂肪分が高めのものまであり、ハーブやパプリカ、ハム、コショウなどを混ぜ込んだスプレッドタイプの加工品も人気。


フィラデルフィアのクリームチーズやガルバーニのマスカルポーネなどはどの国でも売られていますが、その他の種類は国ごとに存在したりしなかったりするので注意が必要です。例えば、クワルクはイタリアでは売っていないのでイタリア在住の人はドイツやオーストリアのお菓子をしっかり再現することができません。私の住んでいるスイスのイタリア語圏では「クワルク」を「リコッタ」と訳して売っていたりするので混同しがちですが、クワルクとリコッタは全くの別物なのでレシピを代用するには向いていません。クワルクのチーズケーキをリコッタで作ると食感が悪くて酸味のない妙な味になり、リコッタのラビオリをクワルクで作ると固さが定まらず独特の甘みがないマズイ仕上がりになります。私は以前クワルクのお団子のレシピをリコッタで試したら茹でている間に分解してしまった経験があります。カッテージチーズとリコッタを混同しているレシピもあり、仕上がりの食感にかなりの差が生じます。

同じクワルクだから、と脂肪分を考慮せずに買ってしまうと大変な目に遭うこともあります。ドイツのチーズケーキのレシピは低脂肪のMagerstufe、 Magerquarkを使うことを前提に書かれているので一切れあたりのカロリーも少なめです。ここで低脂肪ではなく40%のVollfettstufeを選んでしまうとカロリーが倍になり、ダイエットのはずが逆に太ってしまいます。更に似ているからと言ってマスカルポーネを使ったりするともう大変。素晴らしく濃厚で食べ過ぎると吐き気を催すような重いチーズケーキができます。

低脂肪クワルクが手に入らないときに使えるのは「水切りヨーグルト」です。ほぼ同じ食感と味なのでドイツ風のチーズケーキやオーストリアのお菓子作りに役立ちます。20%や40%のクワルクは「ギリシャヨーグルト」で代用するか、ヨーグルトとクリームチーズを混ぜて使うと似たような感じになります。リコッタは木綿豆腐を裏ごしするとそっくりなものができます。クワルクやリコッタが手に入らないけれどオリジナルのレシピを試してみたいときはお試しあれ。






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